少年時代のトラウマで、歌がうたえない・・

昨日のタクシーの運転手さんのお話です。
60歳過ぎくらいの方だと思います。
私が歌をうたうということを知っていらして、こんな話をしてくださいました。
   ・・・・・
自分は、小さい時から歌うのが大好きだった。
だけど、小学生の時、学芸会でソロで歌うことになって、こともあろうに、得意なはずの歌なのに、本番で頭が真っ白になってしまい、歌詞が出てこなくなってしまい、途中で歌が止まってしまった。
そのことが、ずっとトラウマになって、いまだに人前で歌うなんて、絶対に考えられない。
でも、基本的に今でも、歌は大好きだから、カラオケを自宅で練習して、最近ではレパートリーも、少しずつも増えてきた。
   ・・・・・

こういうお話でした。
運転手さんは、心にかなり大きな傷を負っていらっしゃいます。
「あの時、先生が歌わせてさえくれなければ、よかったのに。そうすれば、自分の人生が違っていたかもしれないのに」と思っていらっしゃるようでした。
私は、少し違うことを考えました。
先生は、多分、その少年の才能に気づいて、それを皆の前で発表するという機会をくださったのです。
彼にそういう機会を与えて、自信につなげようとしてくださったのです。
ただ、結果として、少年は失敗してしまった。
問題は、その後の先生のフォローが無かった、ということだと思います。
そこで、上手に、少年が傷つかないように、対処できていれば、その運転手さんが50年以上経った今まで、その心の傷を引きずることは無かったと思います。
多分、その時の先生は、彼がこれほど大きな傷を、今でも抱えているということはご存知ないでしょう。
私も、知らないところで、人を傷つけたりしていることがあるかもしれないと、怖くなりました。
近いうちに、同窓会があるそうで、そこで歌ってみようかな・・・みたいなことを言われていたので、私に話をしてくださったことと併せて、少しトラウマを乗り越えようとされているのかな、とも思いました。


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