「人体の不思議展」に思う

 今からちょうど8年前の、この季節だ思うが、福岡で開かれた「人体の不思議展」というのに行きました。
 長女がその年の春に大学生になり、福岡に住むようになったので、その様子を見がてら、当時小学生と中学生だった下の息子らも一緒に、夫の運転で朝早く家を出たのを覚えています。長女も興味を示したので、合流して家族全員で行きました。
 「人体の不思議展」は、本物の死体に特殊な加工をしてあって、骨格だけとか、筋肉だけ、あるいは内臓がそのままの状態で見えるようにしてあったりとか、実に様々な状態で人体の内部を見ることができて、とても興味深かったです。
 私は、声楽が専門なので、特に横隔膜の実物を見たときは感動でしたし、それまで理屈では「横隔膜を使って」というのがどういうことか、分かったつもりになっていたし、自分も、生徒さんにも言ったりしていましたが、実物を目の当たりにして初めて、「ああ、こういうことなんだ!」とピンときました。
 それ以来、声楽を習いにいらっしゃる生徒さんには、最初に必ず、その話をするようにしています。横隔膜の使い方について、「自分の言葉」でしゃべれるようになりました。
 
 私にとってそういう、貴重な体験をもたらしてくれた「人体の不思議展」が、死者への冒涜である、とか、死体の出所がわからない、とか、主催者が死体を見世物にして金儲け主義になっているとか、そういう次元での話になってしまっていて残念でなりません。



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